手放す

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ココア入りました☺︎

ごゆっくりどうぞ。

 

立ち寄っていただいてありがとうございます。

 

この写真を撮った日は、とても風の強い日でした。

花びらが風に舞って、吹雪になりました。

花びらが舞う様子を写真に残そうとする私の前で、小さな男の子が「ゆきだー」と言ってケラケラ笑いながら花びらを追いかけ始めました。

その時

今、この風景を全身で感じている男の子と、今よりも、後でこの風景を感じようとしている私とが、はっきりと対比されたような気がしたのです。

 

「今を大事にしなさい」

 

とは、よく聞く言葉ですね。

 

私は今を大事にしているつもりでいたことに気がつきました。

思い返せば、いつも大抵明日のことを考えているし、なんなら何年も先のことだって考えるし、昨日の失敗を今日も引きずっている日もあります。

 

今を大事にするということは、今以外を手放さなければいけないということです。

手放すことを考えた時、何故だか分からないけれど、怖いという感情が生まれました。

 

手放したら無くなるという思い込みがあるからだと、すぐに分かりました。

 

何かを掴むには、ぎゅっと握らなければいけません。

 

それは、物というかたちのあるものでも、地位や肩書きや愛といったかたちのないものでも。

 

私はそれらのものが、しっかり握りしめてさえいれば、掴まえていられるものだと思っていました。

 

ある朝、窓を開けると、光の屈折で手のひらに虹が出来ました。

思わず掴んでみると、虹はするりと手のひらをすり抜けていってしまうのです。

握るのをやめると、虹は手のひらの中にずっとありました。

 

なんだ、そうか。

ふと、急に腑に落ちました。

 

「手放せば、あり続けるんだ」

 

太陽の光でも、部屋の明かりでも、スマホのライトでもかまいません。

手のひらに当ててみて下さい。

そして、握ってみて下さい。

光は手のひらからするりと抜け出し、握ったところには影だけが出来ていると思います。

 

人間の原始反射の1つに、把握反射というものがあります。

赤ちゃんの手のひらに指をのせると、ぎゅっと握りしめてくれるものです。

これは、落ちないように自分の身を守る為に起こると言われています。

抱っこしてくれる人は、自分を落としたりしない。その経験の積み重ねを脳が学び、反射が消えていきます。

 

信頼すれば、手放せる。

 

人間は、こうして、赤ちゃんの頃からずっとずっと手放し方を学び続ける生き物なのかもしれませんね。

 

「放す」には、「自由にする」という意味があります。

 

握りしめなければ、光はずっと手のひらの中にあるように、本当に大切なものは、あなたから離れていくことはありません。

 

自由になった手で、たくさんの新しいものに触れていきたいですね。

 

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